脱サラ議員奮闘記
『あなたが動く 社会が変わる』 山根一男(岐阜県可児市議会議員)
≪選挙編1≫
選挙告示日まであと6日。まちに選挙ポスター掲示用のボードが立てられると一挙に選挙ムードが高まる。2002年10月20日から26日が選挙運動期間である。いわゆる選挙運動はこの一週間しかできない。
今回の可児市の選挙は、もともと任期満了に伴う市長選が予定されており、その時点で、26人定員の市議会議員に欠員がある場合は、議員の補欠選挙も同時に行われるというものである。
ところがその市長選があるかどうかが分からない。3期目に挑戦する現職市長に対して、対抗馬が出てこない可能性が高いのだ。その場合、無投票で現職市長の続投が決まり、市議の補欠選挙だけが行われる。
だいたい10万人近い人口を擁するまちで、選挙が成り立たないなんて、本当に恥ずかしい限りだ。民主主義の根幹にも関わると思う。大阪にいた頃はそんなことがあるなんて考えもしなかったが、この辺りではよくあることだ。
現実問題として、市長選があれば投票率は50%を超えるが、市議の補選だけだと過去の例から考えると、投票率は30%を割る。知名度も地域での実績もない自分にとっては浮動票が頼りなので、ぜひとも市長選はあってほしい。
告示日が近づくと事務作業がやたらと多くなる。外に出て人に会いたいのだが、立候補のための書類準備やマスコミからの取材、供託金30万円の納付など普通は候補者がやらないことまで、やらざるを得ない状況にあった。
選挙運動期間前でも、政治活動はできる。 この違いはなかなか理解しにくい。俗に選挙は、告示前にはほぼ大勢は決まっているといわれる。おかしな話だけど現実に近い。最後の仕上げの時期に時間を食われるのは痛かった。
それにしても公職選挙法は矛盾に満ちている。事前運動を厳しく禁じている
のだが一週間の選挙運動だけで選挙に臨む人はまずいないはずだ。要は投票依
頼がされなければ、単なる政治活動だということになる。
この時期にはほぼ対抗馬が誰なのかということは分かっている。ただ、最終
的には20日の告示日に正式に立候補して確定する。私の相手は、この地域きっ
ての代議士の元政策秘書で、この地区のことは熟知している人である。
もう一人、リストラで地元有力企業を退職された50代の男性もいる。私には
勝ち目はないというのが大方の見方だ。それでも善戦すれば、来年7月にある
本選、つまり任期満了にともなう定例選挙で有利にはたらくと見る人もいる。
ただ、私には後がない。選挙費用といえるものも今回分が最後である。失業
保険も11月で切れることになっている。なんとしても当選したい。長野県では
田中知事が圧勝した。保守的な岐阜県にも風穴を明けてやりたい。
思いだけは強いけれども、選挙運動期間の一週間を回せるかどうかも分からない状態だ。告示日2日前の夜、選挙カーを借りに女房と二人で岐阜県高富町まで行ったが、なんと途中でその車はエンコしてしまった。
どんなに準備ができていようがいまいが、容赦なく当日はやってくる。不安な気持ちのまま、2002年10月20日(日)の告示日を迎えることとなった。
…つづく
(山根)
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