ライティング情報あれこれ
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「書き屋のためのATOK辞書」その2 (04年2月)
さて、実際にこの辞書をダウンロードしてATOKに登録して使ってみる。
この辞書に登録されている単語を入力すると、変換キー(スペースキー)を押すと同時に ○○○≪書き換え≫ と第一候補が表示され、もう一度スペースキーを押すと書き換え候補が表示される。例えば、どかた→土方≪書き換え≫→建設作業員 となる。この≪書き換え≫の推奨に従いたくない場合は、そのままリターンキーを押すと≪書き換え≫の文字は消えて「土方」として確定される。
私は「わたしは」と入力するたびに 私は≪書き換え≫ と表示され、「わたしは」とひらがなで書くように勧められるのは意外だった。だが、慣れてしまえば気にはならない。決して押し付けがましくはないので、無視してリターン。使い勝手はそう悪くない。
登録されている単語だが、当然、マスコミが使用を自制する好ましくない表記にはチェックが入る。例えば、身体的な障害に関する言葉(片手落ち→不公平)、職業的に蔑称と感じられる言葉、民族・人種の表記に係わる言葉(エスキモー→イヌイット)、ジェンダーに由来する言葉(女々しい≪不適切表現≫)などが登録されている。マスコミの過剰な自制が問題視されたりもしているが、この辞書に登録されている単語は決して「過剰」ではない。
更に、一般的には難しいと思われる単語、例えば蔑称は、蔑称≪書き換え≫→卑称→蔑称(べっしょう)とふりがな付きで使うことを勧められる。その他にも、例えば大蔵省は、大蔵省≪名称変更→「財務省」 ・旧省庁名≫と説明が出て、→財務省→旧大蔵省と変換候補が表示される。
上手に使うととっても便利だと思うのが英文略号で、例えばNPO法と入力すると、npo法≪初出時書き換え≫→特定非営利活動促進法(NPO法)。NPOだと、民間非営利団体(NPO)→Non-profit Organizationと変換できる。ローマ字略号だけでも1500語以上の登録があり、映画ボウリング・フォー・コロンバインに登場したチャールトン・ヘストンのNRAは全米ライフル協会(NRA)、緒方貞子さんが活躍したUNHCRは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、もちろん英文の正式名にも変換できる。これは現代語辞典の代わりに使えるかと一瞬期待したが、国連「高等難民」弁務官事務所と間違って日本語を入力したら、日本語の登録はなく、そのまま間違って確定された。英文略号を覚えていないと使えない。そこまで甘くはなかった。
この辞書の作者t-weekly氏はウェブサイトで自ら「もの書き職人」と名乗っておられる。その名の通り、内容は決して極端ではないし、押さえるべきところを押さえてある。市民ライターもこの辞書をチェッカーとして使って「職人技」をマスターするのも悪くない。
これを書きながら、載っててほしいのに載ってない単語を発見した。ひとつは精神分裂病→統合失調症、もうひとつはWMD→大量破壊兵器(WMD)→Weapons of Mass Destruction。早速t-weekly氏にメールでフィードバックを送ることにしよう。
(ワンコ)
「書き屋のためのATOK辞書」
http://homepage3.nifty.com/t-weekly/index.html インターネットで配布されている無料のATOK用辞書です。
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