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「書き屋のためのATOK辞書」その1 (04年1月)

 一ヶ月ほど前に差出人不明のウイルスメールが届いた。いつもならウイルス対策ソフトに検知されて削除されて終わり。ところが今回は何気なくウインドウズのアップデートまでしたのが悪かった。それまでXP上でサクサクと動いていた、ちょっと古いバージョンのワードとエクセルが、メール添付のファイルを開くたびにしょっちゅうフリーズするようになってしまった。

 そうなると年末の慌ただしい時期にとても仕事どころではない。これはまたしてもマイクロソフトの陰謀にはめられたか!とビル・ゲイツの顔を浮かべては呪い、かつ祈りながら、何度かソフトを再インストールし、アップデートもしたけど、未だ問題は解決されていない。以来一ヶ月、添付ファイルはいったん保存して、ワードなりエクセルなりを立ち上げてから開けばどうも大丈夫なようだという、何の根拠もない経験則で恐々の作業を余儀なくされている。

 そんな訳で、えべっさん参拝の帰りにパソコンショップに立ち寄って「一太郎13」を買ってきた。マイクロソフトへの怒り、ブッシュへの怒り、小泉首相への怒り、たかがワープロソフトを買うのにやけに大げさだけど、ワード2003にお金を出す気にはなれない。しかも一太郎はバージョンアップ前で安かった。一太郎を買ったからといって当面の問題が解決した訳ではないけど、インストールしたら日本語入力がATOKに替わって、それだけでも、マイクロソフトに一矢を報いた気分。前号の大池さんではないけど、「おう、お前、久しぶりやなぁ!まだワードと付きおうとんのんけ!」と昔の親友がパソコン画面に下駄を履いて戻ってきた。

 前置きがやけに長くなってしまった。早く本題に入らねばせっかく手に入れた担当枠が取り消されてしまう。

 パソコンで日本語の文章を入力するための日本語入力ソフトIME(Input Method Editor )とその辞書もずいぶん進歩した。そのおかげか、普段は使わないような難しい漢字を多用してしまったり、用例まで表示してもらって「なるほど」と関心してしまったりして、便利と言えば便利、だけど、「拝啓」と入れれば「厳冬の候、ますます御健勝のこと...」とくれば大きなお世話だと言いたくなる。

 ビギナーライターにとっては、自分が書いているのか、ソフトに書かせてもらっているのか、アイデンティティに係わる問題に発展しかねない。

 ところが物書きの世界では、効率よく間違いのない文章を大量に書くためにIME用の「専用辞書」なるものを作っている人もいて、それがネット上でなかなか好評らしい。本当に便利なら市民ライターも使ってみない手はないなあと、私が生け贄の子羊になって試してみることにした。

 とりあえず目を付けたのは「書き屋のためのATOK辞書」。なんてったってネーミングがビギナーの心を揺さぶる。しかも無料。これが使えるなら一太郎を買ったもともとれる。共同通信社やマスコミ各社がそれぞれ出している「用語用例集」を参考に、使わない方がいい言葉、初出時はフルで書いた方がいい略語、そのまま使ってもいい略語、市町村合併でなくなった地名、その他いろいろの用例がATOKの辞書に追加登録するだけでサクサクと出てくるらしい。

(次号に続く)

(ワンコ)

「書き屋のためのATOK辞書」
 http://homepage3.nifty.com/t-weekly/index.html



 

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