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テーマ《 クリスマス 》  15号(04-12-20)掲載 その1/3

   「クリスマス」という娘

ジョセフ・ヒコ

 「クリスマス」というあだ名の娘がいた。昭和30年代に小学生だったぼくらにとって、外国や外国人についてのもろもろはみんなクリスマスのイメージだった。電飾されたツリー、白い綿の雪、ケーキ、靴下に入った贈物、金髪碧眼、そして何より、あの甘ったるい数々のクリスマスソング。

 その子は、アメリカのコロンバスという町から来ていた。ちょっと太めの金髪碧眼。まだ小学校に上がる前のちっちゃい子だったが、英語でぼくらに喋りかけ、ところどころ日本語で、「ワタシ ニホンゴ アカン」などと大阪弁交じりでつぶやいた。何度訊いても、ぼくらには彼女の名前を発音できなかったので、みんな「クリスマスちゃん」と呼んでいた。

 ある日のことだった。学校帰りにクリスマスの家の芝生の植わった前庭を通りかかると、彼女が悲しそうな表情で、ひとりブランコを漕いでいた。そのあまりにも悲しそうな顔に、ぼくは何か声をかけなければ、と思い、「クリスマスちゃん」と小声で呼んでみた。すると、彼女はぼくのほうへ駆け寄り、「マ グランマ デ」とかなんとか英語で言い、ポロポロと涙を流した。

 英語は全く理解できなかったが、ぼくは彼女の身内の誰かが亡くなったことを瞬時に悟った。それでぼくは、「おかあちゃんかおばあちゃん、死んだん?」と訊いた。でも、それがわかったかわからなかったかはわからないが、彼女は「イエ、イエ」というようなことを泣きながら言った。ぼくは、「え、イエがどうしたん?」と訊いた。でも、それはわからなかったようで、彼女は「イエ、イエ、イエ」と泣きながら言い続けた。

 ただそれだけの話だが、それ以降ぼくはクリスマスのたびに、ドリス・デイやビング・クロスビーなどのクリスマスソング、「赤鼻のトナカイ」、「ママがサンタにキスしてた」、「ホワイト・クリスマス」なんかがラジオから町に流れ出すと、アメリカのちっちゃな女の子「クリスマスちゃん」が今ごろどこで何をしているのか、空想にふけるひと時をもつ。


 

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