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この「果物」を誉めよ!
《イチジク》

 イチジクは、誉められたり脚光を浴びることの少ない果物でゲスな。
 たとえばリンゴは歌に唄われたり、レコード会社の社名になったりしておりやすし、オレンジなどはヤフーなんかで検索いたしやすと、果物としてよりも、社名や地名やバンド名として、あの鮮やかな太陽色に似つかわしい脚光の浴 び方をしておりやすな。
 ひるがえってイチジクってぇものを見てみますと、まずあの冴えない色がい けません。おまけに果肉は、アイデンティティがすぐに崩れてしまいそうな軟弱さでゲス。 そのせいばかりではござんせんでしょうが、いまだかってイチジクが歌に唄われたり、社名や商品名として使われた例をわたくしは知りやせん。ただ一つの例外(イチジク浣腸)を除いて…。

 ところがでやす、皆様方は、イチジクがブドウやザクロとならんで、世界で最も古い果樹の一つであることをご存知でゲスか? 紀元前2000年頃のエジプトの墓壁にイチジクの画が刻まれているということでござんすよ。ニッポンには徳川様の初期に、中国経由で伝来したそうでございヤス。

 また物の本によりやすと、由緒があるのはその名まえでゲス。中世ペルシャ 語の中国での音訳語「インジークォ(映日果)」が転音してイチジクになったということでござんす。イチジクは、「無花果」と書くこともございやすが、これは「花が咲かないのに実が生る」という意味でございます。しかしもちろん、花は咲くのです。実は、あたくしどもが食べる部分の内側でたくさん花は咲いておりやす。ですから本当は、皆さまがたが食されるのは果実ではなく、花床とか花托と呼ばれる、花の諸部分を着生するところなのでございますよ。しかし一見、花が咲いているようには見えませんので、「花が咲かずに実が生る」といって、中国では不吉で、縁起のよくない植物とされてきたようでございます。気の毒なイチジク。

 しかし、イチジクの実力はそんなもんではございませんよ。いまどき流行りの食物繊維が多いうえ、消化を助ける酵素もたくさん含まれておりやすので、たいへん腸によろしいようです。便秘でお困りの奥様がたはイチジクをお食べになったらよろしゅうございますよ。それに、血中コレステロールの上昇を抑えて血液をキレイにしてくれます。また、昔から痔に効くとも…。どうもイチジクってぇものは、どこかケツに縁があるようでゲスすな。

 昔はどこの家の庭にも植わっていたもんでござんすが、最近はあんまり見かけなくなりやしたな。実はわたくしは、イチジクにはちょっとした思い出がございやす。あたくしが幼少のみぎり、隣の戸口の前に立派なイチジクの樹がございました。夏になると、たくさん旨そうな実をつけやす。三歳児ぐらいだったあたしゃ、ノドから手が出るほど、そいつが食いたいんですな。それでつい、ひとつもいで盗っちまいやした。それをうちの親父が見ておりやして、あたしをこっぴどく叱りつけやした。
 後ろ手にイチジクの実を隠し持ったわたくしめの幼少の姿を思い出すと、なんかこう甘酸っぱいものが胸にこみ上げて来ヤス。あたしゃあの時に、他人様 の物を黙っていただく、ということがどんなに大罪かうちの親父にたたっ込まれやした。曲がりなりにもわたくしが今日まで真っ当な道を歩んで来られたのも、あのイチジクのお陰でござんす。それ以来わたくし、あの樹に足を向けて寝たことは一度たりともございやせん。

(無花果亭) 2004年7月


 

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