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■   鬼丸 昌也さん (テラ・ルネッサンス代表)  寄稿 ★彡☆彡
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           ■夢を持ち続ける勇気■

 テラ・ルネッサンスというCSO(市民社会組織)を設立したのが、大学4年生のときで、それ以来、このグループの代表を務めています。主な活動としては、カンボジアでの地雷除去支援、地雷による被害者への支援活動に取り組むと同時に、日本国内で地雷や平和をテーマにした講演・ワークショップも展開しています。

 大学生時代、いろいろなNGOに関わる中で、カンボジアを訪れることがありました。滞在期間中、ポルポト時代の虐殺現場や、緊張感ただよう地雷原を目の当たりにし、紛争によって人々が受ける有形・無形の苦しみに心打たれました。紛争による苦しみを少しでもなくしたい! そのような思いの下、テラ・ルネッサンスを設立しました。

 私たちが設立以来、掲げているビジョンが、「誰もが安心して暮らせる平和な社会の実現」というものです。戦争のない状態が平和を意味するわけではなく、紛争後の大地から地雷が取り除かれ、人々が生きることに絶望ではなく、希望を見出すことができる社会が、平和そのものであると、私たちは信じています。

 とても大きなビジョンであることに間違いありませんが、誰かが始めなければ、どのようなビジョンも夢も実現するはずがありません。今までの歴史上のできごとを見れば、一目瞭然です。どのような大きな取り組みであったとしても、その最初はすべて勇気を持って第一歩を踏み出した個人でありました。私たちもその勇気ある個人であり続けたいと願っています。

 けれども、そのビジョンを実現するのには、大きな課題が横たわっていることも事実です。地雷、小型武器、子ども兵・・・。私たちが関わっている課題は全て紛争が残していった負の遺産です。それらによって苦しめられている人々はたくさん存在します。例えば、地雷で一年間に約二万人の方が手足を失っています。通常兵器(核兵器、ミサイルなどの大量破壊兵器を除くすべての兵器。小型武器も含む)で毎年、約五十万人の命が失われています。小型武器が軽量化、自動化されることで、子どもたちも武器を取って戦えるようになり、最低でも三十万人もの子どもたちが戦闘行為に従事しています・・・。ひとつひとつとても悲惨な状況であります。

 その悲惨な状況の中にあっても、平和を望み、行動を起こしている人々がたくさん存在することも、また事実なのです。

 兵士だった子どもの一人がこんな夢を語ってくれました。「僕は将来、たくさん勉強して、世界中を飛び回りたい。だって、世界中を旅して、異なる文化を持つ人々のことをきちんと理解することができたら、きっと争いなんて起こらなくなる。だから、僕はいろんな国の人と出会って、いろんなことを理解したいんだ!」

 そんな子どもたちの夢を聞いて、私も夢を持ち続ける勇気をもらいました。私たちに一番必要なものが、その「夢を持ち続ける勇気」だと感じます。だからこそ、今、私は年間90回近い講演・ワークショップを通じて、地雷の現状だけでなく、私たち一人一人がその「勇気」を持つことが大切なんだ!と伝えさせていただいています。講演を聴いて下さった学生・子どもたちは、自分にも何かできることがあると気付き、募金、ボランティアなどに積極的に取り組んでくれるようになっています。確実に変化は生み出されつつあるのです。

 今後も、私は「誰もが安心して暮らせる平和な社会」を現実のものにするという「夢」を持ち続け、そして追い続けたいと心から願っています。

《プロフィール》
 鬼丸昌也(テラ・ルネッサンス代表)
 1979年、福岡県生れ。
 2001年、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の悲惨さと、地雷を通じて見えてくる世界の諸問題の原因を知り、このことを多くの人に伝えるための講演活動を始める。
 2001年10月にNGO「テラ・ルネッサンス」設立。現在、テラ・ルネッサンス代表。
 地雷廃絶日本キャンペーン地域コーディネーターを務める。
 http://www.terra-r.jp/


 

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