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■【市民ライターどんどん(7)                ☆彡

■   井坂 信彦さん (神戸市会議員・灘区選出)寄稿 ★彡☆彡
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         ■「政治的」情報発信のススメ■       


 なぜ政治家は、選挙が近づくと情報発信を始めるのだろうか? 「ひとりでも多くの有権者から票をもらう」という明確な目的があるからだ。なぜ井坂信彦は、選挙の時期でもないのに情報発信を続けるのだろうか? 「世論を動かし、外圧によって政治を変える」という明確な目的があるからだ。

 政治家が情報発信すべき理由は、他にもいくつか思い当たる。たとえば税金で雇われている以上、納税者に対する最低限の報告は必要だ。情報発信によって始まるコミュニケーション自体も、政治の重要なプロセスだ。しかし最大の目的は「人に行動を起こさせる」ということではないか?

 芸術家のような自己表現としての情報発信ではなく、研究者のような真理探究の末の情報発信でもなく、単なる事実の伝達や思想の啓蒙にとどまるわけでもない。「人を動かし社会を変えてゆく」ことが、政治家の情報発信の目的ではないか?

 そう考えると、「書くことによる社会参加」を掲げる市民ライターをはじめおよそ言葉の力で社会を変えようと考える人は、広い意味での「政治家」だ。何を伝えたいのか?ではなく、世の中をどう変えたいのか? そのためには誰にどんな行動をとってもらいたいのか?がスタートになる。

 人に行動を起こさせるためには、相手のことをよく知ることが欠かせない。何が好きで、何が嫌いで、普段どんな生活をしていて、何に心が動くのか? そして相手が行動を起こしてくれるような題材を選び、相手が行動を起こしてくれるような表現・メディア・タイミングを選ぶ。

 その場合、内容自体が理路整然としている必要はない。しかし自分の情報発信が、目指すべき社会の変革にどうつながってゆくのか、その道筋が論理的であるに越したことはない。題材や表現方法は論理的・戦略的に選ばなくてはいけない。

 たとえば私は、早朝の駅前で通勤者向けに「いさか新聞」を自ら手配りする。神戸市の抱える課題とそれを示すデータは書くが、正解めいた結論は書かない。「政治の問題に正解はない、だから議論することが必要だ」ということを多くの人が理解し、自分なりの考えを持つ、そんな社会を私は目指している。

 たとえば選挙では、ただ投票率を上げるより、意味のある投票を増やしたい。そこで「学生による衆院選候補者全国1000人アンケート」を実施した。政党のマニフェストを超えた候補者ひとりひとりの考えが明らかにされ、「学生主催」という理由で主要全紙に掲載され、全国の有権者に発信された。

 事実に基づく1本のリポートが、巨悪を暴くこともある。情に訴える感動的なスピーチが、多くの人を束ねることもある。こつこつ続けるタウン誌が、ひとつの地域を甦らせることもある。市民ライターはぜひ、「政治的な」情報発信で社会を変革してほしい。

《プロフィール》
井坂信彦(神戸市会議員・灘区選出)
1974年生まれ、大学卒業後ベンチャー企業に勤務、
神戸空港と住民投票の問題から議会のあり方に疑問を持ち、
25歳で最年少当選、昨春2期目はトップで再選。
http://www.nada-kobe.com


 

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