┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 一人ひとりの個性を大切にしている施設 ◇◆◇◆◇
□
■ 安部聡子
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今年の春から神戸にある「地域支援センターあらたの家」という知的障害者支援センターに月1回のペースでボランティアに行っている。
この施設では、支援費制度で利用できるサービス(ショートステイ事業・ホームヘルプ事業・デイサービス)や、それ以外の独自のサービス(送迎サービス・在宅支援サービス)を行っている。利用者さんは、部屋でテレビやビデオを見たり、雑誌を見たり、オセロなどのゲームをしたり、おしゃべりなどをして、各々のやりたいことを自由にしている。つまり個人の判断が尊重されている。決まったプログラムや作業などはない。その中で私の役目は、利用者さんと一緒になって遊んだり、ご飯を食べたり。部屋で安全に安心して過ごせるように、温かく見守ることだ。部屋には、職員さんも一緒にいるので、困った時は助けてもらえるので心強い。
初めてここに来た時に驚いた。
彼らのうちある者は自分の体をたたく。水を口に含んではコップに戻して、また含んで……ということを繰り返す。水道を出しっぱなしにして、水遊びをする。ドアを開けたり、閉めたりする。電気をつけたり、消したりしたりする。ところがだれも「やめなさい」などと言わない。言うと興奮することがあり、基本的には危険行為でない限り行動を規制しないそうだ。
ボランティアの私は、利用者さんたちとどこまで関わっていけるのか。私に何ができるのか。どこまでしていいのか。職員さんは、私の行動をどう思っているか。どういう振る舞いをすればいいのか。考えれば考えるほど、わからなくて、心の中でう〜ん…? とうなることもある。
ただ、いつも、この場所にまたいたいなと思う。なぜだろう?
利用者さんはご飯やお菓子を食べた後、しあわせそうな顔をする。また、職員さんが言ってくれる感謝の「ありがとう」がある。この二つのせいで私もしあわせな気分になる。そのせいかもしれない。
(安部)
≪ 読者評価 座布団11枚 ≫
|