テーマ《 夏の思い出 》 10号(04-07-20)掲載 その1/2
いつも、輝きたいから
ぴょん
夏といえば、「プール」。暑い日にはとても気持ちがいい。学生の時は体育
の時間に輝く太陽の下でよく泳いだ。社会人になってからは、スポーツジムの
「アクアビクス会員」に二度なったことがある。その時は、泳いだり、音楽に
合わせて水の中で踊るなどして楽しんでいた。
しかし私は、幼い時プールが大嫌いだった。小学3年までは、顔つけもまと
もにできない、全くのかなづちだった。毎朝家で顔を洗うのも嫌で仕方なかっ
たほどだ。夏休み前の懇談会から親が帰ってくると、「先生から今年も泳げな
いことを言われた」とぐちをこぼした。私は、それを聞くことがとても苦痛だ
った。
クラスや学年で顔付けができない人が、年を重ねるごとに減って目立つよう
になり、恥ずかしさを感じていた。そして、とうとう親が夏休みに私をスイミ
ングスクールの短期夏期講習会に参加させた。
初日は、不安でいっぱいだった。しかし、それを吹き飛ばすかのように、自
然に顔付けができた。腰におもしをつけ、コーチに手をもってもらいながら浮
かんだ「ふし浮き」。窓からキラキラと光がさす水の中で、目を大きく開けて
浮かんでいた。すごく不思議な気持ちだった。とても気持ちよかった。今まで
恐れていたことは何だったのか。想像だけの恐怖だったのか。その時、「やれ
ばできるんだ。怖くないんだ。」と思った。
9月に入って、プールの時間に顔付けやふし浮きが出来ている私を見て、担
任の先生が驚き、喜んだ。次の年も講習会に参加し、それから本科生として1
年半ほど通った。何度も繰り返し泳ぐことで、当時のような水への恐怖もなく
なり、楽しいものになった。
あれから、15年の時を経た。今、私は人生の岐路に立っている。
この夏、5年5ヶ月勤めた会社を退職する。これから先のことは全く決まっ
ていない。不安ばかりが私の胸を苦しめる。ただ、小学3年の時の私のように
想像だけの苦しさでなく、実体験をして感じたい。可能性だけは多く持ってい
る。それを生かせるのは、私の行動力だ。いつも人生を楽しんで輝いている私
でいたい。今、私は初めて水に浮かんだ日のような抵抗の中にいる。
ちょうど1ヶ月後、私は24歳になる。これからが大いに楽しみだ。
(ぴょん)
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