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■    西川則孝・文抄子さん (有機農家 ちろりん農園経営)    
□                         ★彡☆彡 
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         ■ 野菜と安心と「ちろりんだより」 ■

                  文: 平田泰史(高校時代の同級生)

 大阪の高校で同級生だった二人が、大学を卒業後に結ばれて愛媛県の丹原町来見(くるみ)という田舎町に移り住んだ。畑を取得して、二人で有機農法による野菜作りの農家になるという。その当時、1980年は、二度のオイルショックを経たとはいえ、ファーストフード店がどんどん勢力を拡大中で、「有機農業」という言葉さえまだ一般的には普及していなかった。噂を伝え聞いた同級生たちはみな、あまりに意外な進路に驚いた。二人は共に大阪の街で生まれ育ち、農業には縁がなかったはず。高校時代はサッカー部に所属し、大学は農学部に進んだ則孝さんはともかくとして、文抄子さんの物静かな文学少女風のイメージからは、農家を始めたと聞いてもすぐには信じられなかった。

 そんな二人が結婚後ほどなくして、ガリ版刷りの農園のニュースレター「ちろりんだより」の発行を始めた。農作業のこと、地域のこと、子供たちのこと、海外からやってきた研修生のこと、夫婦と子供たちがみんなに届けたい言葉が、B4サイズの紙面に端正な手書きの文字で綴られている。今では印刷方法は手書き原稿のコピーへと変わったものの、1981年の3月に創刊して以来、基本スタイルを変えることなく、毎年4〜5回のペースで発行し続け、昨年末には第130号が身近な人たちやちろりん農園の野菜や鶏卵を愛好する人たちに届けられた。

 二人は今ではすっかり愛媛の人。台風が来れば消防団員として出動し、地元ミニFM放送局の運営に参加し、手作りコンサートの企画や、有機農法やハーブ栽培の講師として、Uターンで都会から戻った人たちと共に、市民レベルのまちづくりに欠かせない存在として活躍している。

 25年近くも「ちろりんだより」を通じて、身近なこと、日々の思いを書き続け、発信し続けている二人だが、インターネット上のホームページやメールマガジンを利用した情報発信は全く考えていないらしい。自ら自給自足に近いシンプルライフを実践し、自分たちが作った野菜や鶏卵を、顔が見える範囲に「安心」と共に届ける。その頑固なこだわりから生まれた「ちろりんだより」だから、顔が見える範囲で配信する。「ちろりんだより」を通じて生まれた人との繋がりを大事にしたい。遠くに住む者にとっては、ちょっと残念とは思うけど、それもまた、わたし達がめざす市民ライターのひとつの姿と言える。

<西川さん夫妻プロフィール>
 大阪府出身。夫婦にて愛媛県周桑郡丹原町(04年11月から合併して西条市)に入植し実験的な有機農場を営む。海外の研修生の受け容れを通じた国際交流や、地域のイベント企画などにも熱心に取り組む。夫婦の共著に「晴れときどきちろりん 未来派百姓耕作雑記」(2000年 創風社出版)がある。
http://www.moritomo.com/tanpopo/news/0006/0609booktirorin.htm

「ちろりんだより」の実物はこちらにコピーを掲載しました。
http://www2.ocn.ne.jp/~mmwriter/new_ver/contents/dondon/chirorindayori.htm


 

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