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■ 市民ライターどんどん           ☆彡          

南野佳代子さん(「ザ・淀川」「ザ・おおさか」編集長)
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   …… タウン誌で人をつなぐ、まちを耕す……
         町の人が「『ザ・淀川』に書いてもろたらええ」と…

 タウン誌を始めたのは22年前、淀川区に引っ越して西も東も分らない時でした。広告をとるために商店街をまわって、自分で作ったタウン誌を自分でまく。なんとなく恥ずかしいから日が暮れてから配りに出ると、商店街裏の路地から生活の匂いがひしひし伝わってきます。家族でお風呂に入る話し声や石鹸の匂い、大根とブリを炊く匂い、きゅうりを切る音、平凡だけど平和な暮らし……。そんな暮らしの中に1ヶ月に1回、あたたかい情報(情=なさけ)を届けたいと思うようになっていきました。

 インターネットで世界中の情報をゲットできる時代ですが、案外近所の情報はありません。
 町に関心がない時は、町が「のっぺらぼう」に見えます。書くことで、人の関心を呼び起こし、町を耕していく。狭い地域だから読者の反応が早いですし、町の人からも、「この人は歴史に強い」「この人は鳥のことをよく知っている」と教えてもらえます。
 
 そのうちに「ザ・淀川」が繋ぎ役となって、いろんなグループやイベントが生まれるようになりました。1982年10月に開催したよどがわ芸術祭や、ふれあい教室の草分けともいえる、町の職人さんを先生にしての十三中学校への「おしかけ」授業。これらは、今もずっと続いています。阪神淡路大震災の時には、淀川に来られた仮設住宅の人たちに元気になってもらおうと、町の人も関わり、「さあ・はんしんは・あさ」を開催し、最後の人が仮設住宅を出るまでの4年間、「ザ・淀川」を届け続けました。

 また、月に1回、鎮守の森のお宮さんで開催する十三市、笑いで町おこしを、の淀川川柳、外国人や障害児の親などを講師にわいわい塾の開催、町の人から資金を集めた映画館「第七藝術劇場」の復活、世界水フォーラムにあわせた淀川の河川敷フェスティバル、取り壊し寸前のアパートでおとなのかくれんぼや室内遊び…。ささやかだけれども、町は動き出しました。

 いろんな情報が蓄積されて、 市民の中にも 「何かあったら、ザ・淀川に聞いたらええ」「書いてもろたらええ」という感じになってきました。

 私が一番怖いのは、人が人に無関心なことです。これからは、「おとなり留学」や「高齢者がつくる高齢者のための情報誌」などもやりたいですね。若い人の支えなんかいらん、私たちが若い人を支えるくらいの気概をもって。そのためにも、何でも聞いてもらえるような人間関係、ネットワークが必要です。町の情報から、広告、人権問題まで、とにかく「ごった煮」のタウン誌ですが、町が変わってきたと思うし、これからも変わっていきたいと思います。

 大変なことはいっぱいありますから、楽天的なことが大事かな。明日は人生で一番良い日−。みなさんそれぞれの町で、是非、地域の宝ものを見つけてください。

     (注 ザ・大阪、ザ・淀川の発行部数 毎月45万部)


 

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