花に心を乱されて・・・? 浜名湖花博を見ましたか
Breeze
正式には『しずおか国際園芸博覧会/第21回全国都市緑化フェア』というものらしい。会期は2004年4月8日〜10月11日までの187日間。会場は静岡県浜松市の浜名湖ガーデンパークである。 かつては鶴見緑地で、最近では淡路島でも花の博覧会があったから、関西の者にとっては、ああ、あれね、という想像がつくが、浜松の友人が早々と公式ガイドブックを送ってくれたり、自身も独自で開発した商品を携えて売り場を確保したり、電話で様子を知らせてきてくれたりするものだから、ここで行かなきゃ友だち甲斐がないとばかり私も朝一番の新幹線で行ってきた次第。
花みどり未来館、浜松産業館、庭文化創造館、園芸文化館、昭和天皇自然館、国際庭園などそのネーミングでおよその中身がわかってしまうようなパビリオンや施設が建ち並び、建物の中にも外にも、ありとあらゆる色彩や種類の花々や木々があふれている。たくさんの人々が語らいながらしあわせそうに歩き回り、遠足の子どもたちの歓声が溢れ(ちなみに、静岡県内の子どもたちは期間中に必ず一回は学校から連れて行ってもらえる由)、植物の根元の土は、どこもかしこもフワフワと肥えて黒く新しく、雑草も生えていないし虫もいない。私が訪れた日は、5月中旬晴天の日。さわやかで暑くなし寒くなし。まさ
にこの世の極楽のような雰囲気だ。
自然への、いのちへの讃歌をうたいあげる、という文句を見た。そしてそこかしこに“癒される”や“ヒーリング”のキャッチフレーズが躍る。見るからにやわらかな若草色の芝生には、ところどころに赤や白、紫のアネモネが咲き、青いムスカリまで咲き始めている。しかし、これらは早春の球根植物!!
水辺の花菖蒲を見たあとで、私の目が点になる。
私は次第に得体の知れない腹立ちを覚えはじめていた。季節を欺きながら、見学者の目をも欺く。それではだれが何を癒されにここに来るのだろうか。訪れる人々は、これらの花を見て、晴らされる程度のウサしか持ち合わせていない、と思われているのだろうか。 私の友人が無邪気に、また、必死でがんばっているのとは違うステージで、異なる次元で、世の中には懲りない人々が多いことを確認しに行ったようなものだ。予定を繰り上げて帰ろうと決心したとき、そばを、華やかな洋服のグループが声高に通り過ぎて行った。
「ここに来たら、イラクも年金もまるでどこ吹く風ね」
(Breeze)
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