市民ライターのキモ 〜 その真実と技術 2006年5月20日
(28) キャッチフレーズのつくり方:その2
吐山継彦
少なくとも、百ぐらい考えると、一つや二つキラッと輝く言葉が見つかるはずだ。イベントのタイトルなんかにしても、カード・ブレーンストーミング法を使って、みんなでカードに書き出してみるのだ。一人が二十個、五人で考えたら、百の言葉たちが出そろうだろう。その中には一つや二つきっと光る言葉があるはずだ。
このときに重要なのは、ほかの人が作った言葉カードを参考にして、新しい言葉を考えることである。これを「融合のマジック」と呼ぶ。イトイさんのようなコピーの天才がいないなら、みんなで考えるしかないし、みんなで考えると、一人のアイデアより必ずいいものが生まれる。これが市民活動のやり方であり、フィロソフィーなのである。
「キャッチフレーズづくりにコツはない」と言ったが、惹句(確かこの言葉も誰かは忘れたが作家が考え出したものだ)のセンスは磨くことができる。それには、ふだんからできるだけ多くのキャッチフレーズに出合っておくことである。実は誰でも、また毎日たくさんの優れたキャッチフレーズに出合っているのだが、意識していないと見過ごしてしまう。だから、いつも意識してうまいフレーズをほめておこう。これはと思うキャッチフレーズに出合ったら、「うまい!」と声に出そう。そしてもし可能なら、すぐにそれを書き留めるのだ。評価し、文字に定着させる。それが唯一のキャッチフレーズ訓練法である。
おっと、もう一つあった。
それは、俳句をやることである。俳句というのは、たった十七文字に森羅万象を詰め込む言葉のマジックである。俳句をやると、周りの自然や人間の生活を観察し、それを詩的な言葉にする鍛錬ができる。また、俳句は言葉によるスナップ写真のようなものだから、パッとある状況を言葉で把握する訓練になる。そればかりではなく、俳句は、五七五という日本語のリズムの根幹を会得するのに最適の方法だ。その証拠に、多くの優れたコピーライターが俳句を嗜む。
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