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市民ライターのキモ 〜 その真実と技術
         2006年4月20日
                              

(27) キャッチフレーズのつくり方:その1
                                      吐山継彦


 手許の電子辞書によると、キャッチフレーズとは、「人の注意をひくように工夫した簡潔な宣伝文句。惹句(じゃっく)」とある。「よ〜く考えよう、お金は大事だよ」という最近の生命保険会社の宣伝文句や、何十年も前の「トリスを飲んでハワイへ行こう」という開高健が作った名作コピーなどのこと。

 しかしここでは、宣伝文句に限らず、すべての短くて分かりやすく人目を引く言葉のことだと考えよう。そういう意味では、文章のタイトルや見出し、商品名、ポスターなどのメインコピーなどもキャッチフレーズと呼ぶことができる。何かのイベントへ誘うための“殺し文句”などもそうだ。

 世の中には本当に「うまい!」と思わず唸ってしまうキャッチフレーズがたくさんある。思いつくままに挙げてみると、「インテル、入ってる」、「おいしい生活」、「明るいナショナル」、「やっぱりごはん」「一粒で二度おいしい」「不足しがちな18種類の野菜を、一粒に凝縮」、「愛にゆれる くノ一」(山田風太郎の小説の映画化作品「SHINOBI」の紹介記事の中の見出し)等々。

 これらのフレーズは、どこがどううまいかというと、短い言葉の中に意味やイメージが凝縮されているところである。「やっぱりごはん」という短い、またありきたりな言葉の中には、ファーストフード大好きな若者や、最近我が家で家族と一緒に食事ができていないお父さんたちへのメッセージが込められている。

 そういうキャッチフレーズが作れるコピーライターは、それだけで「めしのたね」をもっていることになるが、市民ライターもまた、そのような能力があるとあらゆる場面で重宝されるであろう。

 では、キャッチフレーズづくりに“コツ”のようなものがあるのだろうか? はっきり言って、これを使ったら誰でもうまくキャッチフレーズが浮かんでくる、というような打ち出の小槌はない。しいて言うなら、「数うちゃ当たる」というのが唯一のコツと言えばコツである。

 「いいキャッチフレーズができない」と嘆いている人に、「何本考えましたか?」と問うと、「十コぐらいかな」と答える。おいおい、言葉を舐めちゃいけないよ。プロのコピーライターは、商品名一つ考えるのに、何日もかかって数百単位の言葉を考え出すのである。もちろんその分、ギャラも大きいけどね。

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