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市民ライターのキモ 〜 その真実と技術
                     
                                     吐山継彦
                             

(13) 原稿を他の人の目にさらし、寝かす

●市民ライターは書いた原稿を他人に見てもらうことが大切だ。妻、夫、同僚など誰でもよい。最初の頃なら、3人ぐらいに見せたほうがよいだろう。文章は読んでもらうために書くのだから、媒体に載せる前にも見せて感想を聞いておくべきだ。

●というのは、原稿を書いている者はそのテーマに没入しているから、どうしても全体のバランスや、また反対にディーテールに心が向いていないことが多いからだ。人に原稿を読んでもらうと、こちらが全く気づいていないことを指摘されることが多い。もちろん、納得できない指摘もあるだろうが、そんな時 は冷静に判断して、自分の筋を通せばよい。

●大切なのは、読んでもらって感想を聞き、ちょっとした議論をすることだ。なぜ、そういう指摘が出てきたのか? なぜ、この言葉づかいが嫌なのか? はたまた「論理展開がありきたり」とはどういうことなのか? これらのことについて、指摘してくれた人と話をすることによって、あなたの"ひとりよがり" が是正されるとしたら、こんな有り難いことはない。

●訊くと、人は何か言う。当たり前だ、訊かれているのに何も答えられないとしたら、それは自分の能力を否定しているようなものだから…。訊くと、何らかの答えが返ってくるから、その答えに対してこちらも何事かを考え、自分の思ったところを述べることになる。そこにコミュニケーションが生まれて、あなたはさらに自分の書いた文章を省みることになる。

●つまり、自問自答と同時に、他問自答が推敲の大きな手がかりになるのである。自問自答ばかり続けていると、トラップにはまってしまい、そこから抜け出せなくなる。そんな時には他人の目を借りることだ。そして、他問自答したのちに再び自問自答を繰り返すのだ。

●もう一つ重要なことは、原稿を寝かせる時間を取ることである。とくに人に見てもらえる機会をもてない時は、書いてすぐ出稿するのではなく、一日か二日、その原稿に目を通さないでおく。そうすると、原稿に没頭していた時の頭にかかっていた"没頭霧"のようなものが晴れるから、再びクリアで客観的な目で自分の原稿を読むことができる。そしてもう一度推敲し直して、出稿する。そうすると、寝かさなかった原稿よりも数段良くなることが多い。

 

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