連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(5)
かざりえみこ
2004年2月20日
あるところとないところ・・・雪
毎日太陽の顔が見られる太平洋側に長く暮らしていても、幼児体験の雪のこわさが骨身にしみているらしく、大雪の画面をニュースで見るたびに思わず身震いがする。吹雪に背を向けて、身体を丸めながら歯を食いしばり、後ろ向きに学校まで歩いていったものだ。
雪にあこがれを抱く人たちもいる。「スキーは気持ちいいし、『かまくら』に入って遊んだら楽しそうやし、なによりもまっ白できれいね」「ちょいと雪見酒。風流でええやん」
ものごとには、表があれば裏もある。
「屋根の雪下ろしをするのもたいへんらしいな。屋根の上って怖いやろな」「線路も道路も通行止めになったら、食べ物どうするの?」そこに気づいてくれる人もある。
時間があったら、ネット上で見てほしい。豪雪・雪害・日本海側……。たいへんな被害があるものだ。被害があれば、被害対策が必要となる。もちろん天災だから補償も。税金が注ぎ込まれる。
死者、負傷者、家屋の全壊、半壊、流失。高速道路・一般道路の通行止め。空港滑走路の閉鎖。鉄道被害。農作物の被害。森林被害。電話、電気の断線、ガス管、LPガス配管等の損傷、調整器の破損。被害を金額にすれば莫大なものになるだろう。
こんな文字がびっしりと書き込まれている。「あー、知らなかった」と、改めてもう一度読む。内閣府による○月○日、○時○分現在、大雪による被害について、などというのを見ると、仕事とはいえ、これをまとめるだけでもどれだけたいへんだったか、と同情を禁じ得ない。
春先の雪は、水分を含んでどっしり重い。したがって雪害も多くなる。雪害? 雪なんか降らないから関係ない、と私に言った人もいる。雪の被害は、ないところにはないが、あるところにはある。関心はないより、あるほうがいい。
「地球を見つめて〜なんちゃって」目次
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