連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(48)
かざりえみこ
2007年9月20日
西洋朝顔
新大阪の繊維シティーゆめっせでは、毎年7月初めに「朝顔市」がひらかれています。すっかり地域に定着して、買ってきた朝顔を自慢したりほめたり。花を前に、育て方を披露しあう光景もいいものです。朝顔といえば、子どもの頃、毎朝花を数えて、朝顔日記などという宿題を提出した記憶もあることでしょう。ハッと思い出して外に出たときには、もう花がしぼんでいて、べそをかいたこともありました。これほど日本の朝顔は光に対してデリケートなのです。
最近、西洋朝顔が目につきます。一日花ですが、一旦開花すると日中も衰えずに咲き続ける性質が従来の朝顔との大きな違いです。電車の窓から、または道路から、この夏、とてもおもしろい風景をいくつも目にしました。それは、普通の住宅のフェンスや壁面、または窓、立木などに這い上がっている満開の西洋朝顔です。目覚めるような青い花が、緑の旺盛な葉の色と相まって、近ければ一層、遠くても息を飲むほど美しいのです。気付いている方も多いと思います。
普通は種から育てますが、宿根性ですから2年目、3年目になるといよいよ強い性質が現れて、どんどんはびこります。さらに肥料や水やりを少々手抜きをしても、へこたれないのが日本の朝顔に差をつけるところでしょう。ヘブンリーブルー、ブルースター、フライングソーサーなどと名前もしゃれていますので、ガーデニングが趣味の方たちにとって、一度は植えてみたくなる魅力的な花のようです。
ところが、植えてみて困った、という声がそろそろ聞こえてきました。西洋朝顔にからまれた木が弱った、繁殖力が強すぎてまわりの草木が飲まれてしまった、というのです。これは、かつてノウゼンカズラがはやったときにも聞いた声です。華やかな朱色の花につられて植えたのはいいけれど、他の草木が枯れて、庭が朱色一色になってしまった。アメリカあたりの広大な庭に咲く花が必ずしも、日本家屋の庭にはむかない例のひとつだと言ったものでした。
西洋朝顔はこれから寒くなるまで咲き続けます。きっと皆さんの周囲でも目につくはずです。生命力が旺盛であるという現実を知るチャンスです。外来種が、在来種をどのようにして駆逐していくかを身近で観察できますよ。もっとも、結論を確認するには数年かかりますけどね。
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