連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(47)
かざりえみこ
2007年8月20日
暑いときこそおいしいものを食べる!
真夏日、熱帯夜、猛暑日、炎暑、酷暑、残暑……。いくつ並べてみても暑いものは暑いですね。
ところで、汗をかきながら料理をし、いざ本番で、一心不乱に(?)食べることも、暑気払いの最上策。半分やけっぱちですが、やってみたら思いのほか効果がありました。
かといって肉類をふんだんに使ったボリュームたっぷり、というのは当方、もう卒業。あっさりとしたお刺身やお寿司も「主義」として、真夏は遠慮しています。まずは火を使うところからいきましょう。
先日は、紫蘇の葉、ゴーヤ、ナス、甘長トウガラシ、カボチャで天ぷらを揚げました。ゴーヤと甘長トウガラシはプランターで育てています。摘みに出て蚊に刺されましたがこれも一興です。一心不乱でフライパンと格闘で、山盛りの揚げたてに大根おろしをたっぷり添えて食べました。幸せいっぱいで暑さが飛びました。
冷たいそうめんをツルツル。これも、大鍋で湯を沸かすところからはじまります。吹きこぼさないよう火の前に仁王立ち。ザブザブと水を流してゆで上がったそうめんを洗うのも至福の時。水不足の夏なら気が引けてできないでしょう。
友人から“そうめんカボチャ”をいただきました。先端は丸いけれどラグビーボールに似た形。クリーム色のかたい皮。話には聞いていましたが、手にするのは初めてですから、張り切りました。三センチほどの輪切りにして、水から入れて約10分も茹でるのです。そのあと冷水にとってそーっとほぐすと、あら不思議。カボチャがそうめんに早変わり! こっちはとっくに汗だくですが……。
カボチャといってもその果肉は、本物のそうめんと同じ細さの糸状です。水気を切って、冷やしてから、薬味とタレでいただきました。珍味でしたよ。
別名、金糸瓜ともいうそうで、3ヶ月くらいの貯蔵も可能とか。デンプンが糖質に変化していっそうおいしくなるそうです。
この夏、もう一つ、久しぶりに出会ったおいしいものは“鮒ずし”です。もちろん自分で購入しました。そんな私に、友人たちは、高い、臭い、まずいなどとネガティブな言葉を浴びせます。高い、はともかく、臭い、まずいは誤解です。味覚の形成される時期に味わう経験をしていないと、この手の発酵食品はなかなか受け入れられないそうです。
左党の人は、日本酒の冷酒と相性がいいと言いますが私はそうもいきません。熱いごはんの中に押し込んで数分。それから食べるのが大好きです。舌がとろけるような味わいです。においも味のうち。腐敗と発酵のギリギリ境目だからこその絶品のうまさでしょう。
このような伝統食を若い人たちに、好きとかキライとかの基準を越えて、かれらの子どもたちに、食卓で伝統に触れてみる機会をもっと持っていただきたいと思いました。夏場は天ぷらもしない、そうめんもゆでないという家庭が増えているとか。手間がかかっても、汗を掻いても、長い目で見れば食文化の継承という形で「元を取り返すくらい」の値打ちはあると思うのですが、ね。
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