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 連載エッセイ
 「地球を見つめて〜なんちゃって」
(44)
                                かざりえみこ

                                   2007年5月20日

女性の品格


                                         
  仕事を引退し、謡曲を習い、若い頃からあこがれていた鼓(つづみ)を打って背筋を伸ばすという女性の友人とおしゃべりしながら街並みウオッチング兼人間ウオッチングをしました。二人で若い女性の外見が変わったのには驚いたという、まるで浦島太郎のような感想が出て、そこからまた話が盛り上がりました。

  最初、ジーンズの上に重ねた小さなスカート。ピラピラしたカーテンのようなものから、しっかりとした生地で防寒用みたいなのまで観察して楽しませてもらいました。すてきなシャツをさりげなくウェストに縛り付けている人、洗濯を干すように広がってぶら下がっている人といろいろ。気温の高い日のせいか、暑苦しく見えました。

  ある新聞のファッション欄に、今年の流行はすそ広がりのパンツとありました。昔はラッパズボンといったわね、と大笑い。年々流行は変わります。うす手のスカートの下からのぞく2本の黒い脚は冬のパッチ? スパッツ? ジーンズの、すり切れた穴だらけファッションがまだ健在で、冬には、寒さの中でがんばってると思うけれど、夏が近づくとオシャレには見えません。

  トップについては、二人は手厳しい結論でした。 生地が軽いだけにデザインが子どもっぽくて安っぽいと。バストを強調するあまり、はてさて中身まで見せたいのか、とにかく胸の開けすぎが多いのはウィークデイの朝から着る服でしょうか。あの格好では、仕事に出かける心意気を感じないし品がない、『品格』に欠ける、という言葉とともに、日の暮れる頃に、良からぬ思いの男性に声をかけられることを、了解しているようなものでしょう、で一致しました。

  最後は靴。ヒールが歪んだ靴、足に合っていない靴を履き続けると、近い将来必ず膝や腰を痛めるはず。中国の古い習慣「てんそく」(纏足)の幻想が日本で生きているのでしょうか。足もとがおぼつかなくてヨチヨチ歩く女性が男性から見て望ましい、というもので、理由や起源などはウィキペディアで見て下さい。
 若い女性に不安定な靴がなぜこれほど多いのでしょうか。経済力がない、選ぶ能力がないなどよりもまず、合わない靴がどれほど健康に害を及ぼすかを、もっと知る努力、知らせる努力をしないといけません。健康は品格以前の問題です。これからの女性には、足に合った靴でしっかり地面を蹴って歩いてほしい。これが二人の最後の結論でした。
 
 

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