連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(39)
かざりえみこ
2006年12月20日
根っこのパワー
かざりえみこ
公園のケヤキやアキニレが黄葉から落ち葉となり、ついに裸木になりました。
公園に隣接する我が家の窓を開けると、目の前がパーッと明るく、一年中でいちばん光を感じる季節となりました。と、こう書けば、またまた筆者は例のごとく、木を褒めちぎる気だと思うでしょうが、今回はそうではありません。困ったことが起きました。
ある日、洗濯をしようと公園に面した側の戸を開けて外に出ました。「ん? 何この匂いは?」という感じでジワーッと悪臭がするのです。一瞬トイレの排水管を思い出しました。その朝、いつになく水の流れが弱かったのです。悪い予感が当たりました。裏に回ってみたら、風呂場の排水マスの小さい穴から水が見えるのです。まさか! 下水が詰まった証拠です。悪いことが重なってこの日は土曜日。役所は休みです。
5軒分の下水を集めた管が裏の路地を通って道路の本管に入ります。近所の奥さんを前に我が連れあいは地面に這いつくばって一軒ずつ調べていきました。
目の前には行き場のない汚物がいっぱい!! 当然ですが。
細い竹の棒で突いたり、掻き混ぜたりするうちに大発見。
1970年の大阪万博の前に水洗化の工事をしたときには、下水管が「土管」でした。その継ぎ目から侵入した木の根っこが、伸び伸びとその中で育っていたのです。子どもの手首くらい育った根とヒゲ根がいっぱいになって、下水の流れを堰き止めていることがわかったのです。我が連れあいは小さなノコギリを持ち出して根を切り取り、詰まった汚物を流し、急場を凌ぐというところでその日は終わり。週があけて、彼が市の公園課に出向いて実情を報告、早急に対処して欲しいと申し入れて帰ってきました。
ところが、悪いことがさらに重なります。
落ち葉の季節でもあり、役所では人員削減のために忙殺されているのが実情らしく、「見に行きます」から2週間たちました。まだ連絡がありません。そういうものでしょうか?
主婦としては、トイレを使うたびに、洗濯をするたびに、落ち着かないのです。あげくに、ちゃんと説明してくれた? なぜすぐに来ない? 言った相手が悪いんじゃない? 下水担当が? 公園担当が? 年末年始にまた詰まったらどうする? と、連れあいに詰め寄ったり……。
木の葉が繁るほどに根っこも見えないところで育っているのです。恐るべきパワーです。お宅は大丈夫ですか? まことに「つまらない話」で、一年の大詰めと相成りました。いいお年を!!
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