連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(33)
かざりえみこ
2006年6月20日
日よけを求めてゴーヤに到る
私の机は、夏になれば日が暮れるまで西日が当たるところにあります。住宅事情でそうなったのですから、明るいだけでもマシと思っています。ただし、夏の3ヶ月間の暑さと格闘するために、この十数年の間、苦労と工夫を重ねてきました。
夏の風情と思ってスダレを下げましたが、西日の暑さは素通りでした。
雨戸を閉めればまっ暗です。風も入りません。夏生地のカーテンは、目隠しにはなりますが、風が入るたびに大げさに揺れて、ほこりを巻き上げます。「熱と光を遮る効果が大」のうたい文句のカーテンを下げてみましたが、暗くなって照明が必要です。しかも厚地で重い分、風が吹けば派手に机の上をかき回してくれて大騒動に。
雨戸とガラス戸を閉め、クーラーを入れて、真っ昼間に部屋の明かりをつけて……。ここまでして机に向かうほどの気力もありません。暑いときは別の部屋で昼寝をしました。
手すりの内にプランターを置いて、バジルやミニトマトなどを植えてみました。これはこれで楽しいけれど、窓の半分から上は、カンカン照りが直射です。 朝顔を植えました。葉っぱよりも外向きに花が咲くので、早くからおもてに出て花を観賞しなくてはいけませんでした。でも、蔓と葉のおかげで日よけの効果はありました。
去年はプランターに2本のゴーヤの苗を植えました。生ゴミにEMボカシを入れて作った堆肥をたっぷり入れると、丈夫に育って黄色いかわいい花がたくさん咲き、次々と実がなりました。もちろん、ネット一面に繁った蔓と葉は、直射日光をしっかり遮り、窓辺の温度を下げてくれました。目隠しにもなるし、風も通ります。
テレビの『ためしてガッテン』で、ゴーヤがすぐれた健康野菜であることを再認識しました。新聞やちょっとした雑誌も夏になればゴーヤは人気アイテムです。いろんな料理法も紹介されます。ポイントは刻んでから塩もみしたり洗ったりしないこと。高温で手早く調理すること。豚肉や削りかつお節が栄養的にも相性がいいことだそうです。
私は急ぐときにはスライスしたゴーヤに山盛りの削り鰹をかけて、ごま油と(ときにはオリーブオイルと)ポン酢を合わせたドレッシングで食卓に乗せます。昨年は長いことゴーヤを食べ続けて夏バテもしませんでした。
今年も、一夜でグーンと蔓が伸びるゴーヤの成長を楽しんでいます。まもなく花が咲くでしょう。沖縄の人たちがゴーヤを愛しているのも道理です。今ごろ分かりました。あらゆる面で恐るべき夏のすぐれものはゴーヤでした。
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