連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(3)
かざりえみこ
2003年12月20日
光が怖い12月
省資源・省エネルギーのために、「無駄な電気はこまめに消そう」「不要な電化製品は買わない、売らない」「待機電力はこんなに無駄」などとマスコミは盛んに報道していた。過剰冷房に悩む人たちを取材し、これこれの電気の無駄を減らせば、火力発電所ならいくつ、原子力発電所ならいくつが不要になるとの解説もしてくれた。あたかも国民が守るべき緊急課題のようにみえて、私は心に刻み込んだものだ。(なかなか実行できない!!)
我が家には約一名、善良なる国民がいて、私の前になりうしろになり、コンセントを抜き、電気を消し歩く。時には衝突もするけれど、省エネルギーから家庭不和に、なんてサマにならない。思いなおしては「敵」を憎まず、ひたすら精神的努力を続けている!
それなのに、12月になるといったいどうしたことか?
どんな小さな商店街もにぎやかにスピーカーを鳴らし、夜になればイルミネーションを輝かせる。玄関前にクリスマスツリーを飾ってあかるく灯してくれる家もある。 防犯上の理由からたびたびグレードアップされたのか、街灯だけでも十分に明るい。そこへまた街路樹の梢の先まで豆電球を連ね、光の樹などとはしゃぐ。あろうことか大阪市役所の正面から中之島公園のイルミネーションの派手なこと。私なんか財政難の中の電気代が心配だ。
樹の立場で考えてみよう。
ここ数年、強い夜間照明のせいで、葉を落とすこともままならず、真冬でも青々と光合成をしながら寒風に震える木々の多いこと。落葉樹の裸木がスックと青空に向かって春を待ついさぎよい姿と比べ、つい同情をしてしまう。
そんな思いで見つけた一冊がある。文化としての明と暗。光と陰。
『夜は暗くてはいけないか』乾 正雄 著 1998年 朝日選書が面白い。
「地球を見つめて〜なんちゃって」目次
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