連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(29)
かざりえみこ
2006年2月20日
鳥インフルエンザ
立春が過ぎましたが今年はいつまでも冬が居座っています。なぜか例年ならとっくになくなっているはずのクロガネモチやナンテンの赤い実が、まだたわわに実が付いたままです。この冬はヒヨドリが食べに来ません。
まちなかの公園ではおなじみの鳥ですが、冬の間は窓を閉めているし、鳥インフルエンザをうつされたらイヤだしなどと思い、ヒヨドリをはじめとして、他の鳥にもあまり関心もなく過ごしていました。
ある日ふと、鳥インフルエンザがただ「こわい」というイメージだけで、身近な鳥を遠ざけていた自分に気がつきました。ときどきは樹木の実がいつになったらなくなるかと見るのですが、減らない実を見て、かえって鳥インフルエンザのウィルスがまき散らされる危険がないからいい、などと思ったくらいですから。
私の知り合いも似たようなものです。「飼っている10羽の鶏のために、金網の目を全てふさぎ、ドアの隙間も目張りをした。かわいい鶏が、スズメやムクドリの野生の鳥にインフルエンザをうつされたらたいへんだからね」と言ってました。
要するに「こわい」が一人歩きをしてしまっているのです。先進国がタミフルを大量に買い占めるせいで、発展途上国には届かないとか、アジアから輸入する鳥は危ないとかいろんな情報が飛び込んでくることからもわかります。
この件についてたいへん興味深い内容をあつかったサイトを見つけました。wwwsoc.nii.ac.jp/osj/japanese/materials/birdflu/birdflu_main.html
日本鳥学会で出しています。少し引用します。
……実験的に、野鳥から分離されたウイルスを家禽(ニワトリやウズラ)に接種してもほとんどのウイルスが増殖せず、家禽が死亡する事もない。感染当初は低病原性株であっても、H5あるいはH7の亜型ウイルスが家禽で増殖を繰り返すと、増殖性と病原性を高める突然変異を有するものが選択されて高病原性株になる。(中略)
近代養鶏における大規模な飼育形態は、この選択的変異に影響を与えると一般に考えられているが、その程度や具体的要因は明らかにされていない。高病原性ウイルスがいったん家禽に発生すると、瞬く間に鶏舎内のニワトリ全体に感染し、また高濃度のウイルスが鶏舎に存在するため、容易に近隣の養鶏場にも伝播する。こうなると、流行は容易には終息しない。
なるほど、そういうわけだったのか、と納得した次第です。
他にもおすすめしたい内容を満載しています。たずねてみてください。
私はおかげで鳥インフルエンザをずいぶん正しく理解できるようになりました。今度の休みには、窓を開けて公園の鳥を観察しようと考えています。
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