連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(28)
かざりえみこ
2006年1月20日
黄砂
かつて中国の北京に住んでいた人が、黄砂の恐ろしさを語ってくれたことがありました。
砂あらしが襲ってくるときには、まるで日本の台風並みとか。農作物の被害も甚大。健康にももちろん悪いし。
近年、中国では砂漠化がとみに進んでいることもあって、大規模な調査研究が始まったところだそうです。日本では、立春がすんで幾日もしないころ、きまって各地に「春の使者」などと呼ぶ黄砂が降ります。以前よりもその量が多くなってきていることもあって、地球温暖化との関係などと合わせて、日本でもくわしい調査研究が進められているようです。
私が子どもの頃には「黄色い雪が降ると春が来る」と言ったものでした。毎日、雪の上に新しい雪が積もって、それと気がつかないでいるとき、スコップで縦に掘ってみて、うっすらと黄色い層に初めて気がついて歓声を上げました。中国の西北部から数日かけて4000キロメートルも飛んで来る黄色い砂が不思議でたまりませんでした。
今では洗濯物が汚れるとか、車が汚れるとか嫌われ者のようですが。
国立環境研究所の<http://www-cger.nies.go.jp/cger-j/c-news/vol10-9/vol10-9-1.html>に21世紀の地球環境を左右する中国の大気汚染の現状について佛教大学社会学部 溝口 次夫教授の論文が掲載されています。
それによると中国の大気汚染はすごいもののようです。それがそのまま偏西風に乗って日本に届くわけです。時には酸性雨の原因となって……。
黄砂自体は砂漠の砂ですから、炭酸カルシウムが主な成分で、アルカリ濃度の高いものだそうです。それが飛行途中で酸性雨の原因物質を吸着する効果があるとか。日本の場合は、黄砂による直接の汚染と、黄砂が酸性雨の被害を軽減しているこのプラスとマイナス両方があって、黄砂が良いとか悪いとか、急いで軍配を上げることもできません。
今年も「春の使者」は間もなくやってくるでしょう。新聞やテレビなどでどのように報じられるか、注目してみませんか?
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