連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(25)
かざりえみこ
2005年10月20日
伊達(だて)の厚着
今年の夏は暑かったですね。その夏がいつまでも続いて、暑い暑いといってるうちカレンダーをまた一枚めくって、もう10月も半ば過ぎ。子どもだけではなくおとなでもまだ半袖で街を歩いています。夜に寝るときでも、薄い布団一枚でよかったりして。
世界各地で異常気象が取りざたされています。台風、大雨、ハリケーンetc.
地球温暖化のせいなのですって、ね。
ところで、伊達の薄着(だてのうすぎ)ということばを広辞苑を見れば、「見えを張り、着ぶくれをきらって寒いのを我慢して薄着をすること」とあります。「だて」とは人目を引こうとすること、です。
このごろ、街には『伊達の厚着』が多いと思いませんか?
夏でも毛糸の帽子をかぶっている人を見かけましたが、9月が10月になるやいなや、日中が暑いにもかかわらず、早くも、ボア付きのダウンベストを着たり、ウールのマフラーを巻いたり、ロングブーツを履いたり。ある男性は汗を拭きふきレザーのジャケットを着てました。
つい先頃までは"クールビズ"だといっていた人たちが、突然、ネクタイを締めてスーツを着用するのですから、若者を笑っている場合でもありません。
まあ、厚着をして、広辞苑ではないけれど「見えを張り、薄着をきらって暑いのを我慢して厚着をすること」を地でいっている人たちは、まさに伊達の厚着です。新語ができましたね。
問題はここから始まるのです。
新語くらいなら笑っていられるのですが、笑えない事態がありました。暑い暑いといって、10月も半ばというのにビルも電車も冷房を入れているんですから。鳴り物入りのあのエコライフはどこへ行ったのでしょう?
地球は温暖化に拍車がかかり、ファッションはカレンダーの季節を先取りして秋から冬。都会はどんどん季節を失い、人間の感覚もずれてきています。
この冬は"ウオームビズ"ですって? 伊達の厚着でさぞかし我慢するでしょう。とくと観察させてもらいましょうか。
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