連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(22)
かざりえみこ
2005年7月20日
暑さのせい・ヒートアイランド現象
6月の最後の週に北海道に旅行してきた友人が「もう暑くて死にそうだった」とため息をつきました。涼しいと思って出かけたのに、もう地球が狂っている感じだったそうです。大阪でも梅雨らしい雨が降り出したのは7月になってから。6月下旬には、カラ梅雨のまま、真夏がきたような日々でした。寝にくい夜にうちわをパタパタさせながら考えました。
地球温暖化対策のプランがいくつも立てられたけれど、あれはどうなっているのだろうか、と。
温室効果ガス排出抑制対策の実施、駐停車中のアイドリング禁止、エコドライブ、家庭・事業所向け啓発活動、冷房温度は28℃への引き上げ、屋上緑化、森林環境整備……。 いつか、新聞やテレビで見覚えた見出しがうろ覚えのまま頭の中を巡ります。
6月中旬、外は30℃を超す真夏日。駅前で客待ちしているタクシーの長い列のそばを歩きました。全ての車が停車中のアイドリング。熱気をまともに浴びて、ようやく乗り込んだ電車は涼しさを通り越して寒いのです。タクシーも電車も、これが乗客サービスなんですね。
テレビでニュースを見ればクールビズファッションで、政治家たちが郵政問題を論じていました。あのだらしない格好も暑さのせい。あれでは話している内容までうさんくさい気がします。麻の生地の和服をキリッと着たらどんなにか涼しくて格好良く見えることか。襟元、袖口、脇、裾、全てが洋服よりは日本の夏向きにできているでしょう。もちろん着流しではなく、坂本龍馬のようにちゃんと袴をつけて。
はい、これくらいは言わせてください。暑さのせいですから。
街を歩くと街路樹がもう枝を切られていました。ようやく伸びた枝が一人前になったところでバッサリです。屋上緑化、道路、街路樹、公園の緑化推進が地球温暖化対策プランのひとつだということぐらい、物覚えの悪くなったこの頭がまだ記憶しているんですよ。これでは空気の浄化・冷却をしてくれる葉っぱの働くときがないでしょう。言うこととすることが違うじゃありませんか、なんてぼやきながら、住宅や商店・工場が建ち並ぶ地域にある我が家に向かっていました。ところが軒並みに、エアコンの室外機が通りに向かって熱気を吹き出していました。
各家庭に向けた啓発活動、ってなんでしたっけ? 暑さのせいで忘れました。
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