連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(21)
かざりえみこ
2005年6月20日
ダンゴムシ
子どもたちが遊んでいる声がします。小学校3年生になった近所の男の子と友だち数人です。植木鉢を持ち上げて、「おった、おった」「大きいぞ」とにぎやかなこと。またダンゴムシを集めているのです。男の子はほんとうにダンゴムシが大好き。どうしてでしょう。
私はダンゴムシを知りませんでした。初めて見たのは、我が子がポケットに丸っこいゴソゴソ動くものをいくつも入れてきたときで、まだ30年にもなっていません。近所のおばあちゃんは「マルムシ」と教えてくれました。我が子は幼稚園で覚えてきて「ダンゴムシ」と言い張りました。 あれ以来、おなじみの虫になりましたが、かわいいとも思えないけれど、キライでもありません。明治以前の文献には登場しない、いわゆる外来種だそうです。ダンゴムシよ、おまえもか、ですね。
植木鉢をひっくり返すと、体の色が白いのに出会うことがあります。あれは脱皮の寸前の状態とのこと。脱いだ殻は栄養補給のため、エサにする。卵は体の外に産み付けてほったらかしにはせず、体にくっつけて歩く。卵からかえって初めて親のそばを離れる。足は片側に7本。全部で14本、だから昆虫ではない。これはザリガニと一緒。ダンゴムシはワラジムシ科で、海老・ザリガニなどと同じ甲殻類。夜行性で、水気が好き。えら呼吸をする……。
図書館の児童向け「理科」のコーナーでダンゴムシに関する本が幾冊も並んでいます。次々と手にとっているうち、あっという間にこんなにも知識を集めました。ダンゴムシは虫というけれど虫ではない、ということを了解した次第です。 土いじりをしていていると、必ず出てくるダンゴムシ。つぶさないから、あっちいって、早くどいて。私はそんなことを言いながらチューリップを掘り上げて、そのあとにアサガオを植えました。都会のまん中で、人間はどこもかしこもコンクリートで固めて住んでますが、ダンゴムシはその中で住みかを確保しています。エライものですね。
「地球を見つめて〜なんちゃって」目次
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