連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(50)
かざりえみこ
2007年11月20日
果物のおいしい季節に
ナシ、ブドウに代わって、寒くなるといよいよミカンやリンゴの季節です。アルコールに弱いことへの反動なのか、私は一年を通して果物にはとくに目がありません。果物は自然の恵みそのもの。おいしさは、人工的なお菓子類の比ではありません。果物屋さんの上得意かもしれません。
今年の夏は異常な猛暑でした。これでもかというほど長引いた夏の終わりに出かけた四国の蜜柑どころでは、強すぎる日照りのために、ミカンの表皮がやけどの痕のようになっているのに出会いました。雨が多ければ実太りして水っぽいし、照れば日焼け、いずれも商品価値がぐんと下がります。自然相手の農業はたいへんです。
あの暑さの中で、今年の果物はどんなに甘くておいしいかと私はひそかに期待をしました。充分な日照時間が確保されると糖度が上がり、食味も増すからです。ここでひとつ私には気をつけなければいけないことがあります。おいしさにつられて食べ過ぎないよう、食欲にブレーキをかけることなのです。ふつうには、果物は健康に良いと言われます。抗菌作用や鉄分の吸収をよくするといわれるビタミンCや、体内のナトリウム排泄を促すカリウムが多い。動脈硬化や脳梗塞を防ぐとして医薬注目されるようになったポリフェノールを含む、など一見、いいことだらけのようですが、その甘さは肥満のもと。糖分取りすぎは中性脂肪、LDLコレステロール、血糖値などを上げる危険もあるのです。
果物は甘ければおいしいというものでもありません。糖度と酸味プラス香りや肉質のバランスが大事。たまたまおいしいのに当たるとうれしくてついつい「もうひとつ」となりがちです。一日の摂取の適量は200グラムだそうで、意外と少ないのでがっかりします。ちなみに100グラムがどれくらいかといえば、リンゴ・桃・柿なら2分の1個、ミカン・キウィなら1個、ブドウ1房、バナナ3分の2本などとなります。200グラムといえばミカンなら2個。これで今日の果物が終わり、ではわびしくて仕方がありませんね。
すべての果物について、買うときの理想としては産地が明らかで、低(無)農薬、ノーワックス。もちろん低価格もそうですが輸入品ではポストハーベスト農薬もチェック項目となります。見かけよりも健康志向。好きなものからまずは賢い消費者になりたいと願っています。
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