連載エッセイ
「地球を見つめて〜なんちゃって」(41)
かざりえみこ
2007年2月20日
ネズミ
昔話にはよくネズミが登場します。 「おむすびころりん」でおなじみの『ネズミ浄土』、やせっぽちネズミと太っちょネズミが山ですもうをとる『ネズミのすもう』、猫がネズミにだまされて十二支の中に入れなかった『十二支のはなし』などそれぞれにおもしろいですね。おはなしの中では、ネズミが必ずしも悪者扱いをされていません。民衆の暮らしと密着し過ぎたために憎むに値しなかったのでしょうか。憎んでなんかいられなかったのでしょうか?
絵本『ぐりとぐら』も主人公は野ネズミ!『トムとジェリー』『ゲゲゲの鬼太郎』にもネズミ。わらべ歌でも「……俵のネズミが米食ってチュー……」ですが、私が子どもの頃、大きな土蔵に、もしかしたらネズミが入ったかも知れない、と父は大騒ぎしてネズミ取りのトラップをしかけていました。そうして「ネズミというやつは」と例のネズミ算の講釈を聞かされました。3〜4週間で親になり、1度に8匹も子が産まれたら、蔵の米がネズミに食われてしまうと脅かされて。 ところが、座敷の奥でネズミが走ると「地震や火事の前には、家にネズミが1匹もいなくなる。ネズミがいるのは良いことだ」と言うではありませんか。子ども心に(いったいどっちなの?)と思ったものでした。夜中にネズミの走る音は私には不気味でした。 いま、都会では至る所にネズミがいます。 夜に商店街を歩いていて、不意に目の前を横切って走っていく大きなドブネズミがいました。地下鉄を待っていたら、線路の横を抜けて、これもみごとに大きなネズミがホームの下に入っていきました。さすが、夜行性です。町の中には食べものがあります。水もあります。猫も蛇もいないし、安心して住めます。ものすごい数で殖えているそうです。
ネズミはペストを媒介する怖い害獣です。 先日九州宮崎県で鶏インフルエンザが発生して、大きなニュースとなりましたが、終息する頃にラジオから、「原因の一つにネズミが考えられる」と聞こえてきました。それならタイヘン、と思って新聞やテレビで続報を待っていたのに、それっきりでした。あれは何だったのでしょう? なんとなくありえるかな? と考えてしまったのです。私にとって、もともとネズミは怖いのですから。 最近、「猫がネズミを捕ったのよ」というと、カワイソーッと言って若い人ににらまれました。大人も「それは昔の話だ」と言います。ペットの猫も良いけど、猫にネズミをすっかり見限らせてもいいのかなー?
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