☆ オバチャマは市民ライター
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☆ (22) ペットボトル栄光に影。カムバックか、引退か。
2008年3月20日
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ゴミの分別化が進んで、ペットボトルはリサイクル優秀選手だった。なぜ、「だった」なのか。今やリサイクル不信でペットボトルも課題も山積み状態だから。リサイクル優秀選手の現状は、ひとこと、「リサイクルされてない!」
国内で年間販売されるペットボトルは54万トン。その3分の1にあたる18万トンはゴミとして処分され、さらに、自治体がリサイクル向けに分別回収している3分の2も、その半数は国の指定ルートじゃなくて海外に流出。リサイクルはとっくに破綻していたといっていい。
そこで、環境省の研究会が検討をはじめたのが、ペットボトルを洗ってもう一度使う、「リユース制度の創設」というわけだ。環境省の担当者のことばがいい。「実現に向け超えるべきハードルは多いが、ドイツや北欧諸国などリユースが定着している国もある・・・」勉強不足じゃないのかな。
ペットボトルが普及する前は、日本にもリユースが定着していた。酒屋や米屋が消費者と企業の間をちゃんと取り持っていたのだ。だから、一升ビン(日本酒や焼酎)、ビール瓶などガラス瓶は、環境省が想定しているデポジット制(商品と一緒に預かり金を徴収して、瓶を返すと返金してくれるシステム)をとっくに実践していて、消費者にも浸透していた。空き瓶を取って置いてそれを酒屋に渡すと、ひと瓶何十円かのお金が戻ってきた。
便利さに取って代わられリユースは廃れ、酒屋に瓶の洗浄機をリースしていた会社も廃業に追い込まれた。こういう時代を想定して、政府はもっと早く手を打つべきだった。企業利益を優先してきた結果じゃないのかな。大金をつぎ込んでごみ焼却炉建設に邁進するなら、なぜ、ゴミを増やさないための調査研究に投資しなかったのか。焼却炉建設には談合や癒着も確かあったよね。
リユースに否定的なのは、飲料会社。ペット樹脂はガラスと違ってアルカリ洗浄しても匂いも付着物も落ちにくい。キズは付きやすいし潰れやすい。おまけに形はバラバラ。使い捨てが前提で作られているんだもの当たり前よね。無理にリユースすれば、設備投資などコスト増は必至。
ペットボトルのカムバックは諦め、スマートに引退を勧めるのが得策でしょ。ペットボトルの製造と使用を大幅に規制し、紙パックとガラス瓶への移行を促進。処分に負荷がかかるのだからペットボトルは当然高額にする。リサイクルが簡単でゴミとしても負荷の少ない紙パックと、リユース可能なガラス瓶は、環境にとっても優しい。
安くて軽くて便利なペットボトルはポイ捨てを助長し、しかもペット樹脂は年月を経ても自然に戻ることが無いから、環境汚染の立役者だった。一度味わった便利さに、ペットボトルがなくては生活できない気がするかもしれないけど、 無ければ無いように人間はちゃんと適応できるもの。
ところで、私たちが苦しみながら取り組んでいるゴミ分別、まさか意味ないなんてことは、ありませんよね?お役人さん!
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