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□市民ライターどんどん(32) ☆彡
■ 松居友さんと3冊の絵本 □
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小林 康代
(元大阪市立図書館司書)
人の縁とは不思議なものです。 私の母の末の弟、博幾(ひろちか)叔父は画家でした。あまり売れないので食べていけず、ずっと私の両親が経済的な援助をしていました。そんな叔父の絵を『一枚の絵』という雑誌で見た、当時福武書店(今のベネッセ)で児童書の編集長をしておられた松居友さんが、叔父の絵に文章をつけて世に出してくださいました。
それが『おひさまありがとう』と『ほのおのとり』の絵本です。 絵本が出版されても、貧乏であることに変わりはなく、もともと体の弱い叔父には、油絵を描き続けるのは無理だったのでしょう。その後『生まれる』という絵本を、福武書店をやめた松居さんと、ほるぷ出版から出して以来、画家という職業から遠ざかってしまいました。
ところが、これらの絵本の原画が、叔父から私の母に、そして母から私に譲られたのはほんの4年前のことでした。2年前に私が抗がん剤治療をうけながら家族と離れて、マキノの雑木林の中で一人暮しをしている間、これらの原画がずっと私を励まし慰めてくれました。この時に、たまたま知り合ったのが、湖西に絵本美術館を作ろうと活動を始めていた「絵本による街づくりの会」の人たちです。
『ほのおのとり』の原画展が、会の事務局のあるペンション・マキノで開かれました。 原画を写真に撮り、スクリーンに映し出してピアノの生演奏で語るという、詩語りの会も開かれました。
でも、これらのことを著者である松居友さんにことわりもせず行うことは、仕事を通じて得た知識から思うと、著作権法上問題があるのではないかと、私は不安でした。 そこで、松居さんになんとか連絡をとりたいと探しましたが、どうしても居所がわかりません。 探しあぐねた私は父上の福音館書店初代編集長・松居直氏の講演会場に押しかけ、息子さんに手渡してほしいと、無理やり手紙を預けました。そうして一年後、ミンダナオの松居さんから連絡がきたのです。一時帰国の松居友さんにお目にかかることもできました。
それからは、2年続けて、「絵本による街づくりの会」主催で、ペンションマキノで講演会と交流会が開かれ、松居さんと松居さんが主宰しているミンダナオ子ども図書館の活動について、どんどん理解と関心を高めてきました。 昨年は知恵をふりしぼって、海外交流基金を申請し、ミンダナオ子ども図書館の奨学生12人を日本に招き、イスラムの伝統楽器であるクリンタンの演奏と、踊りを見ていただいて日本の子どもや若者たちと交流をしようと計画しています。 イスラムもカソリックも仏教も神道もあらゆる宗教がみんな一緒に、絵本と音楽で結ばれる平和の集いにしたいと思っています。もちろん、日本の子どもたちや青年たちの演奏や、他の国々の民族楽器による演奏も予定に入れています。
また、松居さんの絵本の講演会と絵本の原画展も予定しています。 場所と会場について、 10月27日(土)滋賀県高島市朽木村のやまびこホール、 11月3日(土)は大阪市平野区平野区民ホール です。 詳細が決まり次第、またこのメールマガジンでお知らせします。 一人でも多くの方が、今からカレンダーに書き入れて、その日を空けておいていただけたら、本当に嬉しいです。
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