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    (38) 脳死と臓器移植とアンパンマン
                  

                               2009年11月20日
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脳死を死とする臓器移植法はあっけなく改正された。当事者である国民の声聞かない性急な結論だったと思う。脳死と臓器移植を考えて、すぐに浮かんだ疑問。脳死したAさんと身体を破損したBさん。Aさんの体にBさんの脳を移植するのか、Bさんの脳にAさんの身体全部を移植するのか。術後のこの人はAさん?それともBさん? 脳の持ち主のBさんかな。

頭の移植が毎週行われているのがアンパンマン。それなら、今放映されているあのアンパンマンは前のアンパンマンとは違うのか。正義の味方はすぐ悪にやられる。すると、ジャムおじさんが焼き立てのアンパンマンの頭をもってきて豪快に投げつけ、取り替えるとアンパンマンはすぐに復活する。作者のやなせたかし氏はどう考えているのだろう。脳に人格があるとは考えていないのだろうか。アンパンマンを分析考察している面白いブログ「アンパンマンほど哲学的なアニメはない」から引用
http://d.hatena.ne.jp/daen0_0/20080717/1216228401

「ふつう私たちは人間の本質は脳であり、脳内の精神活動こそが生命であると考えています。しかしアンパンマンはそんな脳をそっくり取り替えてしまうのです。アイデンティティはどうなるんでしょうか。・・・生命の本質は物質ではなく、同じ物質の状態を再構成しようとする流れである、という寓意を導くことができます。私たちは日々異物を食べ、消化し、排出しています。その過程で古くなった細胞は廃棄され、次々と新しい細胞に入れ替わっています。おそらく生まれた直後と今の自分では、身体を構成する分子がほとんど入れ替わっているでしょう。アイデンティティは物質ではない、それゆえに身体は取替え可能なのだ、というメッセージを視覚的に表現したのが、あのアンパンマン顔とっかえシーンだったのです。」

脳死と臓器移植の是非を問うまえに、熟考し議論しなければならなかったのは、人間とは?人間のアイデンティティとは?だったと思う。身体のあちこちを移植していくことが可能になった場合、他人の部位で構成されているひとは一体誰かということよね。

臓器移植は進んでいる。ねずみに人の細胞を移植し培養。生きたねずみの背中に人間の耳が生えている映像がある。
http://www.youtube.com/watch?v=PEc7QXAjsL4 
実用化すれば、胎児に(自分)の細胞を培養して、自分の悪くなった部位を移植できるようになるそうだ。培養された自分の部位なら、免疫不全もなくなんの問題もないから、自分の悪くなった部位をどんどん取り替えていけば不老不死も夢じゃないとか。

新生児にヒヒの心臓を移植したとか、異種間臓器移植の研究が進んでいる。「人間の遺伝子を豚の精子に組み込み、人間の遺伝子が働いている臓器を持った豚をつくることにイタリア・ミラノ大学などのグループが成功し21日、米科学アカデミー紀要に発表した。」2002/10/22 【共同通信】」など。

究極の不老不死。これを是とするのか。逃げないで未来をしっかり考えていかなければね。幸か不幸か、大変な世の中になったものだ。オバチャマついていけるかなあ。

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