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□【市民ライターどんどん (43) ☆彡
□ 大阪市福祉教育語りの会 鈴木昭二
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◆ 障害は個性か? ◆
「やっぱり障害は、個性やと思う」。なんでや。と、私が聞く。高校三年生の野球部の彼いわく。たとえば、遠投で100メートル投げる奴がいるとする。でも、俺は、80メートルしかなんぼ頑張っても投げれない。これも障害だと思う。だとすれば、この障害を補うのは、後の20メートルを誰かが中継すれば、いいではないか。だから、80メートルしか投げられないのも障害と考える。
彼は、障害は機械や人の力でカバーできると信じているらしい。障害を持つ人間としては、そんなボールを何メートル投げるとか投げないとか問題ではなく、投げられる
人間と投げられない人間の違いであることをまず、理解しないと前提条件が違うので議論にはならない。障害とは、まず、ボールを投げることすら出来ない状態をいう。
この話は、今年で6回目を迎える大阪市社会福祉協議会ボランティア情報センターが行なっている「宿泊プログラム」の国立曽爾青少年自然の家でボランティアとして参加したT君兄妹とのやり取りの一節である。
宿泊プログラムとは、小学校3年から中学3年生の子供が、5〜8人ぐらいで1チーム を作る。そこに、障害者「視覚や肢体など」とボランティア「大学生・高校生など」が障害者をサポートする。子供たちとともに、二泊三日の遊び・学習「点字・視覚障害ガイド法・車いす介助法」などを学習しながら障害者と寝食を共にする。今年は、総勢90人の大所帯であった。
曽爾高原は標高700メートルの高地にある。昨年も今年も夕立に会い、今年はキャンプファイヤーを中止せざるを得ないという初めての経験をした。二日目の昼食は、飯ごう炊さん。私のチームは5班。小学5、6年と中学生の6人の子供たち。私をサポートしてくれる高校生ボランティア3人で合計10人である。メニューは飯ごう炊さん定番のカレーライス。全盲の私が包丁を持って、ジャガイモの皮をむき、芽「ソラニン」を包丁の角で削り取る。ニンジン・玉ねぎなども皆で手分けして刻んで行く。また、米をとぎに流し場へ行く。このように全盲ができることは、積極的に行なった。男子は、かまどに火を起こすのに苦労していた。出来上がったカレーを前に「ご飯の歌」を歌って「いただきまーす!」。食べ終わると食器や鍋などの洗物。これも私にとっては得意なもの。今年のカレーは昨日宿舎で食べたカレーより大変おいしかった。
ところで、「障害は個性である」との意見に対し、障害があることで、就職・結婚・偏見など差別を受けるのはなんでやねん。個性の範疇を超え、生活「肢体障害の身体介助・視覚障害の自由な外出」に介助が必要になるのか?頭がハゲ・背が低い・鼻が高い低いで障害年金がもらえるか。などと次々聞いていくが、彼は、ヤッパリ「障害は個性だ」と言い張っていた。この話は朝4時まで続き「もう寝ようや」で時間切れだった。
彼らももう少し障害者とかかわることで障害が個性とは比べものにならない状態を理解できる日が必ず来ると信じている。
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